受信機やレーダーを評価するには、「相手の信号」と「電波環境」が必要です。しかし、妨害波がある条件や遅延波が重なる条件を、実際の現場で毎回同じように作ることはできません。通信・ノイズシミュレータは、規格の波形、妨害波、伝搬路の影響をRFSoCのRF-DACから実際のRF信号として出力し、試験したい条件を机の上で繰り返し再現します。
PCで生成した任意のIQ波形や、規格に沿ったフレーム(UWB、Wi-Fi、Bluetooth LE、LoRa、5G NR同期信号、FMCWチャープなど)を、RF-DACから決めた時刻に送出します。複数の信号を時間をずらして重ねることもできます。
送出する波形に、雑音、連続波(CW)の妨害、周波数ずれを加えられます。どの程度の妨害まで受信できるかを、条件を少しずつ変えながら確かめる試験に使えます。
遅延波(エコー)を合成し、壁や床で反射した電波が重なる状況を再現します。遅延時間と強さを指定できるので、狙った伝搬条件を作れます。
レーダーのチャープ信号に、目標物までの距離に相当する遅延を与えて返します。実際の目標物を置かずに、レーダーの信号処理を確認できます。
シミュレータの構成。条件はPCから設定し、信号は同軸ケーブルで評価する機器へ入れます。機器からの応答をRF-ADCで取り込み、合否の判定まで自動化することもできます。
当社のRFSoC 2台を同軸ケーブルで接続し、送信側で条件を合成、受信側でその効果を確認した結果です(2026年10月、中間周波数500 MHz)。
Wi-Fiの信号に、250 nsと1000 nsの遅延波をデジタルで合成して送出しました。受信側で伝搬路の応答(遅延プロファイル)を求めると、合成したとおりの位置にエコーが現れます。
エコーは送信波形に合成したもので、振幅は相対値です。経路の絶対的な校正は行っていません。
帯域500 MHz・48 µsのFMCWチャープを生成し、目標物までの距離に相当する遅延を信号上で与えて送出。受信側のレーダー信号処理で距離を求めました。
遅延は信号上で合成したもので、物理的な目標物を使った測定ではありません。ミリ波帯のレーダーと組み合わせる場合は、周波数変換のフロントエンドを使います。
※ 数値は当社の実機検証記録で確認できる値のみを掲載しています。詳細な試験条件はお問い合わせください。
仮想の街の中を移動する端末の位置に、どのような2.4 GHz帯の電波が届くか。これをレイトレーシングによる伝搬計算で求め、RFSoCのRF-DACから実際のRF信号として出力する構成です。同軸で接続した別のRFSoC(リアルタイム計測側)で、その電波環境を実測表示します。
3D表示・伝搬計算・送信制御と、RFSoC側の波形生成回路を実装し、伝搬計算に追従して出力の強さを変えるところまで実機で確認しました。同軸端でのRF実測と、複数の送信源の合成はこれからです。