当社のカスタムSDRは、GHz級のRF-ADC/RF-DACを8チャネルずつ内蔵したRFSoC(AMD Zynq UltraScale+ RFSoC)をベースにしています。アンテナ直後の信号をそのままデジタル化し、FPGAでリアルタイムに処理できるデバイスです。このページでは、システムの構成、ハードウェアの仕様、筐体、開発の進め方とご提供の形態をまとめています。
RFSoCは、高速ADC/DAC・FPGA・Arm CPUを1チップに収めたデバイスです。外付けの無線チップや専用ICを使わず、波形の生成から到着時刻の推定、復調、解析までをチップ内で完結できます。
時刻精度が要る処理(パルス整形、絶対時刻での送信・取込、FFT・復調)をFPGAが、規格固有のフレーム生成・復号と制御をArm CPUが担い、PCは表示と参照モデルを受け持ちます。
RF-ADC 4.096 GSPSで、ミキサや中間周波数段を介さずに広帯域の信号(UWBの500 MHz、2.4 GHz帯の全幅など)を取り込みます。周波数の変換・補間・間引きはチップ内の設定を変えるだけです。
1024点FFTを8 µsごとに隙間なく、復調をFPGA内で、相関と到着時刻の検出をps分解能で。PCに生の波形を送らずに済むため、Ethernet 1本で連続観測ができます。
64 bitの絶対時刻で送信・取込を行い、変換器の遅延を電源投入をまたいで再現。2台・独立クロックの双方向測距まで実機で確認しました。8チャネル同時取得・位相差計測への展開を進めています。
RF-DAC 6.554 GSPSから、PCで生成した任意のIQ波形や規格に沿ったフレームを時刻指定で送出。雑音・遅延波・妨害波を合成した波形で、受信側の耐性も評価できます。
基板のRF部が扱えるのは約3 GHzまでのため、LNA・フィルタ・周波数変換のフロントエンド基板と、SMA引き出し・冷却を備えた筐体を自社で設計。アンテナからFPGAまでを1つのシステムにまとめます。
計算モデル → 組込みソフト → 回路シミュレーション → 実機の各段階で、結果がビット単位で一致することを確認。実機だけで現れる問題も記録し、再現手順つきで納品します。
基板を机上に裸で置くのではなく、RF 21ポートのSMA引き出し、冷却、外部インタフェースの開口を備えたアルミ板金筐体を設計・製作しました。寸法を変数にした生成スクリプトから、加工用の図面・3Dデータ・部品表を一括で出力し、板金加工業者に直接発注しています。



現在は市販のRFSoC評価基板を2台運用し、自社設計の筐体に収めています。評価基板をお持ちでない場合も、当社の環境で先行して検証できます。
| RFSoC基板(8送信・8受信) | |
|---|---|
| デバイス | AMD Zynq UltraScale+ RFSoC XCZU27DR。Arm Cortex-A53 ×4 + Cortex-R5 ×2 + FPGA |
| RF-ADC | 8ch、12 bit、最大4.096 GSPS |
| RF-DAC | 8ch、14 bit、最大6.554 GSPS |
| 当社の標準設定 | ADC/DAC 4.096 GSPS、補間・間引き4倍(複素IQ 1024 MSPS)または2倍、チャネル間同期(MTS)有効 |
| RFポート | 送信8・受信8の計16ポート。基板上のバランの通過帯域は4.5 MHz〜3 GHz |
| クロック・トリガ入出力 | 5ポート:トリガ入力、トリガ出力、同期基準入力、外部基準クロック入力、クロック出力 |
| メモリ・記憶 | CPU側・FPGA側それぞれにDDR4メモリ、フラッシュメモリ、microSD |
| インタフェース | Gigabit Ethernet、USB Type-C、デバッグ用シリアル、高速光インタフェース(QSFP)、拡張コネクタ |
| 基板寸法 | 120×150 mm |
| 開発環境 | AMD Vivado/Vitis。回路記述はSystemVerilog、組込みはC、PC側はPythonおよびRust |
| 自社設計 アルミ板金筐体 | |
| 構成 | ベース+フタ+ファン取付プレートの板金3点。アルミ(A5052)、黒アルマイト |
| 外寸 | 約157×186×58.5 mm(ゴム足を除く) |
| RF引き出し | SMAコネクタ×21(後面16、側面5) |
| 冷却 | RFSoC直上のヒートシンク+40 mmファン、フタの吸気穴、側面の排気スリット。基板裏面から底板へも放熱 |
| 前面 | USB Type-C ×2、LAN、QSFP、電源ジャック |
RF-ADC/RF-DACの最大性能はデバイスの仕様値です。基板のRF部の通過帯域は3 GHzまでのため、それ以上の周波数は外付けの周波数変換で対応します。
フィルタ2段・LNA 2段・可変減衰器を載せた60×40 mmの基板。利得約+29 dB、雑音指数3.6 dB(計算値)。回路図・部品表・RF配線まで完了しています。
RFSoCの直接入出力(約3 GHzまで)を12 GHzまで広げる周波数変換基板。回路設計まで完了し、基板レイアウトはこれからです。さらに高い周波数は周波数拡張・ミリ波化の技術で対応します。
8送信・8受信のRFSoCボードの回路図を自社で設計済み。コネクタ、外部基準クロック、光インタフェースなど、評価基板で足りない要件が出たときに製作へ進めます。
「計算では合っているのに実機で動かない」を避けるため、各段階で前の段階と結果が一致することを確かめながら進めます。この手順で、UWB測距・プロトコルアナライザのいずれも、着手から数週間で実機での動作確認に到達しました。
お客様の開発体制・目的に合わせて、形態を問わず対応します。
AMD、Zynq、UltraScale+、RFSoC、Vivado、Vitisは Advanced Micro Devices, Inc. の商標です。その他の製品名・規格名は各社・各団体の商標または登録商標です。