無線を載せた製品は、出荷前に「正しく送信できているか」「正しく受信できるか」を確かめる必要があります。扱う方式が増えるたびに検査装置を買い足していくと、設備も手順も増え続けます。当社のカスタムSDRは、1つのFPGAイメージの上で波形を差し替えることで多くの方式を扱えるため、検査の相手役となる送信機・受信機を1台にまとめられます。検査項目、治具との接続、合否判定の自動化に合わせてソフトウェアを実装します。
Wi-Fi、Bluetooth LE、IEEE 802.15.4、LoRa、UWB、5G NR同期信号など、方式ごとの波形はPC側で生成・解析し、RFSoCは決められた時刻に送信・取込を行います。ハードウェアやFPGAを入れ替えずに、画面の操作で47のモードを切り替えられます。
製品の受信を調べるときは規格どおりの信号を送る側に、製品の送信を調べるときは信号を取り込んで品質(EVM、ビット誤り、CRC・FCSの一致)を評価する側になります。両方を同時に動かすこともできます。
64 bitの時刻カウンタで送信と取込を予約。信号の立ち上がりを捉えるトリガ(振幅・ソフトウェア)と、取込の長さ(64 µs/256 µs/16 ms)を用途に応じて選べます。応答までの時間を測る検査にも使えます。
PCから操作するためのAPIを備え、API自体の自動試験(72件)と、方式ごとの参照モデル(17種)を整備しています。検査の手順をスクリプトにして、結果の記録・合否判定までを自動で流せます。
2台のRFSoCを同軸ケーブルで結び、片方が送信、もう片方が受信して、各方式のパケットを両方向で復元できることを確認しました(2026年10月)。
| 方式 | 確認した内容(2台間、同軸、中間周波数500 MHz) |
|---|---|
| Wi-Fi(802.11a/g) | 6〜54 Mbpsの全8レート×両方向でビット誤り0。MACデータ(44バイト)とACKをFCSまで復元。EVM 1.0〜11.5% |
| Bluetooth LE | LE 1Mのアドバタイズパケット(11バイト)を両方向で受信、CRC一致 |
| Bluetooth Channel Sounding | Mode 0〜3の波形64ケースを取得(相関0.993以上、同期語の誤り0)。72チャネルのトーンを144/144取得 |
| IEEE 802.15.4(O-QPSK) | ACKフレーム(5バイト)を両方向で受信、FCS一致 |
| LoRa | SF6のパケットを両方向で受信、CRC一致。プリアンブル相関0.997以上 |
| 5G NR 同期信号 | PSS・SSSを両方向で受信し、セルID 128を検出。相関0.998以上 |
| UWB(802.15.4z) | データフレーム(24バイト)を両方向で復元。ヘッダ・誤り訂正・FCSすべて一致 |
| FMCWチャープ | 帯域500 MHz・48 µsのチャープで、信号上で与えた5 m・10 m相当の遅延を5.003 m・9.999 mと推定 |
| 汎用の変復調 | 16QAM 32 Msym/s、PN系列、チャープ、OFDM、32トーン(経路の相対周波数応答)の送受信 |
確認の範囲: 上記はすべて中間周波数500 MHzの有線接続で、当社のRFSoC同士で送受信した結果です。各規格本来の周波数での動作、市販の無線チップとの相互接続、経路の絶対的な校正は今後の項目で、検査装置としてまとめる際に対象の製品に合わせて実施します。
検査に使うには、送受信の機能だけでなく、製品との接続や現場での扱いやすさまで含めて作り込む必要があります。