76GHz帯 電波吸収体の反射特性評価

今後、ミリ波の活用が促進されるとともに電波吸収体の需要も高まるものと考えられます。

現在の電波吸収体の評価は、フリースペース法などにてSパラメータの評価を指標とすることが主流ですが、実際の使用環境にて電波が吸収体に照射された際に電波が空間的にどのように振る舞うかを評価する手法はありません。

そのため、実際の使用環境での実力を把握できず、結果として対象のシステム(例えば車載レーダーセンサシステム)に問題がなければ良しとする、といった曖昧な効果基準となりがちです。これは、過剰品質(吸収性能)を招くおそれや、過剰に吸収体を貼り巡らせるおそれがありシステムのコストアップを招きます。

また、特にミリ波帯の評価においては、評価設備の系をそろえるためには高額な設備投資を伴うことになりますし、その評価設備を適切に扱うには高度な専門技術を要します。

私たちは上記のような課題を克服すべく、さらには、電波吸収体を提供する側にとっても使用する側にとっても、両者にとってその性能が一目でわかる評価手法を構築検討しています。以下はその事例となります。

左図のように、76GHzの電磁波をホーンアンテナより発射した後に平面波に変換し、遠方界における電波吸収体の性能評価としております。

図のように金属板に電波吸収体を貼り付け、その先の反射波を平面的に計測しました。


下図は、左図の計測範囲を計測した際の振幅を示します。今回は2種類の電波吸収体を評価しました。

結果から、電波吸収体の効果によって電波が吸収されていることがよくわかります。

次に、金属板のみ時の振幅MAXを基準と(上左図のビーム中央の赤い部分を0dBと基準を置き換え)したときに、吸収体AおよびBの減衰量を表したものを下図に示します。

この結果より、反射波のビーム部分において(振幅MAXを基準として)、吸収体Aは約10dBの減衰、吸収体Bは約15dBの減衰であることがわかり、吸収体Bの方が電波吸収の性能がよいことが一目でわかります。

終わりに、補足として、金属を裏打ちして反射抑制させるための電波吸収体は、垂直入射における反射が極力低くなるように設計されるケースが多くあります。しかしながら、実際の環境ではどの方向からの到来電波に対しても効果を発揮するべきであり、実際には斜め入射/反射の効果が重要とされるケースが多くなると考えられます。

また、減衰電波を計測する際に、一般的にはホーンアンテナやパワーセンサ/メーターが多く使用されますが、電波の散乱が生じた場合には適正な評価がされません。以下に、散乱電波を計測した事例を示します。我々が開発した技術は、電波を空間的に計測することを可能とするため、散乱して電波が減衰しているのか、それとも吸収して電波が減衰しているのかを適正に評価することができます。

上図に示すように、しわくちゃのアルミホイルに電波を照射・反射させた場合、電波が散乱していることがわかります。

今回の事例はアルミホイルですが、電波吸収体においても形状が凸状のものなど電波の散乱・反射が懸念されるケースもあり、空間的にどのように電波が振る舞うかを適正に把握することが必要になります。