誘電体サンプルの透過マッピング評価

一般に車載レーダーセンサーは車両意匠性を維持するためにパーツの裏に隠されて配置されます。

レーダーセンサは車両の「目」の役割(の一部)を果たす機能であるためセンサ目線で見晴らしが効くところに設置されますが、一方でその機能が故に設置個所は外観から目立つ箇所であり、つまり「車両の顔」となるパーツの裏に設置されやすくなります。その代表パーツの一つがエンブレムです。

エンブレムは車両の顔ともいえる意匠性を保つために形状や塗装が創意工夫されますが、レーダーセンサ電波への要求も同時に満たす必要があります。透過電波に乱れがないかを評価することは設計において非常に重要な観点です。

以下に示す評価事例は、透過電波の減衰を評価したものです。エンブレムは減衰が小さく、またエンブレム全体をみたときに減衰バラつき(面内バラつき)が小さいことが求められます。現在、透過電波の評価はコーナーリフレクタやフリースペース法を用いた方式が多く採用されていますが、意匠性を保つために複雑な設計・加工がされたエンブレムに評価するには情報量が不足しており面内バラつきがわかりません。一方で、我々が開発した技術は光の技術を用い、空間分解能を高く(情報量を多く)して計測評価することを実現しています。

左図のように、エンブレムに集光した76GHz電磁波を照射し、透過電波を光学センサプローブにて計測をしました。

集光電波及び光学センサプローブにて空間分解能の高い計測を実現していますので、この状態でエンブレムを走査させることによって、透過電波のエンブレム面内バラつき=透過マッピングを示すことができます。

下図がその結果となります。

上図はセンサプローブにて計測した振幅結果のマッピングです。

エンブレムの細かな加工に応じた減衰マッピングが示されており、高分解能な面内評価ができています。

エンブレムが無い状態での振幅値(上図でいえば左上や左下部)と比較することで、減衰量の評価が可能です。

上図はセンサプローブにて計測した位相結果のマッピングです。

振幅結果同様に、高分解能な面内評価ができていることがわかります。

エンブレムが無い状態での位相値と比較することで、位相変化量がわかり、物性的な変化やバラつきがないかを評価することが可能です。

我々が開発した技術は、エンブレムのような意匠性と電波特性の両立が求められるパーツの評価に適しており、バンパーの評価においても有効な手段となると考えています。また、設計現場だけでなく検査ラインの現場にもおいても新たなソリューションになります。

なお、今回の例ではエンブレムを走査してマッピング評価を実施しましたが、センサプローブを走査することによって透過電波(ビーム)そのものの評価をすることも可能であり、エンブレムを透過することによって実際に電波がどのように振る舞うかを評価・確認することも可能です。

透過減衰の測定、分布観察

左図は上に示すエンブレム計測と同様な実験系にて、塗装を施したバンパーの平板サンプルを計測した結果を示します。また、こちらでは、サンプルが無い状態の電波と比較をすることで、サンプル面内の減衰量(dB換算値)を示しています。

こちらでは塗装によって、面内に減衰バラつきが生じており、およそ-1.7~-2.8dBの差異が面内にあることがわかります。

一般的に、減衰評価は自由空間法などにて実施されることが多いのですが、我々ではそれに対して情報量の多い評価を簡便に(一度に)提供することが可能です。